バイオ研社長の私(以下「私」)は大学卒業後、大手乳酸菌飲料メーカーの中央研究所に25年間勤務しました。
そこを退職後、別の企業の研究所で再び乳酸菌の研究と製品開発に携わり、乳酸菌の研究を続けてトータル50年間になります。
大手乳酸菌飲料メーカーで研究していた時期は、「生きた乳酸菌を飲めばその乳酸菌は腸で生きて増える」ということを信じていました。
腸内で乳酸菌が増えれば、乳酸菌が乳酸を産生して、腸内が酸性になるになることにより大腸菌やウエルシュ菌などの悪玉菌が減り、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が増えるという仮説を立て、これを証明する実験に明け暮れていました。
私の実験は、培養初期10数時間の活発な増殖期の乳酸菌(カゼイ菌)をボランティアに飲んでもらい、翌日の便を分析すれば、飲んだ乳酸菌が増えていることを証明でき、しかも腸内菌叢も善玉菌優位に代わるという結果を期待するものでした。
この実験は15名の研究員が3ヶ月にわたって3回/週の割合で便と尿の解析を行いました。
しかし、この実験は、新鮮な生きた乳酸菌を飲んでも、飲んだ乳酸菌が腸で増えることは無く、腸内菌叢が変化することも無く、腸内容物の化学的変化も全く無い、という結果に終わりました。
この研究の結論は、「生きた乳酸菌を飲んでもその菌は腸内では増えることはないし、腸内菌叢に何も影響も及ぼさない」ということでした。
その後も乳業会社やプロバイオティクスを販売している会社から、乳酸菌が腸で増えるという報告はありません。
その後、私は別の研究所で、生きた乳酸菌ではなく加熱殺菌した乳酸菌「エンテロコッカス フェカリス菌」の研究に携わることになり、殺菌された乳酸菌でも生きた乳酸菌以上に腸内菌叢を変化させる効果があることをヒト試験で証明することができました。
そして、同じ乳酸菌でもエンテロコッカス フェカリス菌と、以前研究していた乳酸菌との免疫力の違いを比べると大きな差があることがわかりました。
このことから、乳酸菌を飲んで腸内菌叢が変化するのは生きた乳酸菌が腸内で増えることで起きるのではなく、乳酸菌が持つ免疫力によるものだと推定しました。
つまり、飲んだ乳酸菌が腸から吸収され、刺激を与えることで免疫力の変化が起こるのです。
私がエンテロコッカス フェカリス菌の加熱殺菌乳酸菌を製造販売する会社の研究員を定年退職し、「有限会社バイオ研」を設立してから間もなく、偶然に、かつて私が研究していた加熱フェカリス菌の菌体を水に溶かして顕微鏡で観察したところ、フェカリス菌が1つ1つ浮遊している中にフェカリス菌が集まった大きな菌の塊が沢山あることに気がつきました。
乳酸菌を飲むと小腸のパイエル板という器官から乳酸菌が吸収されてその効果が発揮されることは明らかにされており、パイエル板は小さい粒子ほど効率よく吸収することも分かっていました。そこで私は、菌の塊のない菌の製品を作れば、より生理効果の高いフェカリス菌粉体が得られると思い、様々な試行を重ね、水に溶かしたとき1つ1つの菌体がバラバラに分散する「ナノ型乳酸菌」を開発しました。
加熱乳酸菌を粉体化する場合、一般的にコストの低いスプレードライヤー(噴霧乾燥機)を使って乾燥させます。
スプレードライヤーの原理は乳酸菌の懸濁液を約200℃位に温めた機械の上部から霧状にして噴霧します。
この工程により水滴の中の水が一瞬の間に蒸発し、乳酸菌だけが粉体になって機械の下方に向かって落下していきます。
この工程で、水滴中に含まれた乳酸菌は凝集を起こし、大きな水滴の中に含まれていた乳酸菌は大きな塊になってしまいます。
この菌の塊は、人工胃液や人工腸液で処理してもバラバラになりません。
「ナノ型乳酸菌」は加熱乳酸菌の欠点を解決したのです。
ナノ型処理した乳酸菌と、ナノ型処理しない未処理の乳酸菌を水に溶かして数分後の外観とこれをそのまま顕微鏡で観察した写真および粒度分布計で測定したデータを以下に添付します。